作品のカルテ

アニメ、小説、漫画、映画の感想に聖地巡礼。自分の創作について。とりあえず日々の記録を書いてます。

「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか」裏話と謎の解明

「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか」

あの不思議な玉はいったいなんだったのか、ラストに二人がいないけれどなぜなのか、花火は結局作品の中でどんな意味があるのか、そもそも横から見るってなんだよとか、今回はそれらの謎を一挙に解明しました!

 

 

 

どうも、かんとくです!

 

今日から本格的に記事を書いていこうと思うんだけれど、取り敢えず何から書くの?っていう疑問にまず直面したわけです。

 

どうせ、書き方がわからないんだろとか、何書くか思いつかないんだろとか思ったそこのあなた!違いますよ。まったあぁく違います。むしろ、書くネタがたくさんありすぎて、何からいく?的な状況ですよ(笑)

 

となると、まあせっかくなんで、タイムリーなものがいいだろうと思ったので、そういうネタにします。長々と書きましたが、そもそもタイトルでわかりますよね(笑)

 

そう!「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか」です。

夏も終わり、そろそろ夏ネタを振り返ってもいい頃合いなんじゃないでしょうか?

でも、まず本題に入る前にちょっと注意を。この記事にはネタバレ要素が含まれるため、まだ観てないよという方は読むのを控えた方がいいかもしれません(全然ネタバレオッケーというアグレッシブな方は止めませんwww)

 

ではいきましょう!

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「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか」考察

 

1.そもそもどういう話なのか?

 

そもそも、この作品どういう話なのか?観た人からするとどういう話だったのか?というのは気になっているんじゃないかと思います。特にラストのシーンは「ここで終わり?」みたいに思った人が多くいたようで、ざわついた雰囲気で上映を終えた映画館もあったのだとか。

とりあえず、簡単にさらってみましょう。あくまでも簡単に。詳しく書くと長くなりすぎちゃいますし、それはそもそもこの記事の要点ではありません。

舞台はある小さな田舎町です。地名は「茂下夏」と書いて「もしか」と読むようです。

作中の駅のホームにこの文字があることが確認できます。

 

主人公の島田典道はヒロインの及川なずなに恋をしている。でも、何の行動に出るともなくその思いを抱いてます。

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ある日の放課後、典道と友人の祐介はプール掃除のついでに50メートルの賭け勝負をすることに。そして、そこにたまたまいたなずなもその賭けに加わる。

「あたしが勝ったら…なんでも言うこと聞いて」

そう言ってスタートした勝負は水泳部のなずなの圧勝。典道はターンのときに足をぶつけて最下位になってしまう。

賭けに勝ったなずなは2着の祐介に

今日の花火大会、二人で行こうよ」と誘う。

なぜ自分を誘うのかと聞く祐介に「好きだからだよ」と恥ずかしげもなく答える。

プール掃除から典道と祐介が教室に戻ると、教室では純一、和弘、稔の三人が

「花火って横から見ると丸いと思う?平べったいと思う?」という議論をしている。

そこで、5人はその日の花火大会で、打ち上げ会場の真横に位置する灯台に行き、真相を確かめに行く約束をする。

学校を後にし、典道が家に帰ると、自分の部屋になぜか祐介が上がり込んでいた。

二人は集合時間までゲームをすることに。

集合時間になり出かける間際、祐介は、典道にプールでぶつけた足を祐介の家の病院で診てもらうようすすめ、

「家になずなが来てたら、行けなくなったって伝えといて」

なずなのことが好きだと以前から公言していた祐介だったがいざとなったら照れくさくなったのか、思い切れないのか、なずなの誘いを断ってしまう。

病院に行った典道は、そこで浴衣を来たなずなに会う。なぜかなずなはスーツケースを持っている。

祐介が来れないことを伝える典道。

「島田くん(典道)が勝つと思ってた」となずな

病院を後にした二人はどこに行くでもなく歩く。

そこに突然なずなの母親が現れ、なずなの手を引き連れ帰ろうとする。

なずなのスーツケースが地面に転がり中身が散らばる。

実は、母親の再婚により転校が決まっていたなずなは家出しようとしていたのだ。

(あのとき、もしも…、俺が勝っていれば…)

勝負に負けた自分と、約束を断った祐介を責める典道。

憤った気持ちをぶつけるように、スーツケースから転がった不思議な玉(なずながプールで海で拾ったことを典道に伝えている)を思い切り投げる。

その瞬間、時間が巻き戻る!

プールでの勝負まで時間は巻き戻り、今回は見事2着でゴールする典道。なずなは典道を花火大会に誘う。

二人は町から出るため駅へと向かう。

しかし、電車が到着したところで、なずなの家出に気づいた母親とその交際相手が駅まで来てしまう。なずなを連れ帰ろうとする親の手をなんとか振りほどこうとする典道だったが、母親の交際相手に殴られ失敗し、なずなは今度もまた連れていかれてしまう。

しかし、典道のポケットにはさっき時間を戻した不思議な玉が。

もう一度、今度こそ、うまくいくよう典道は玉を投げ、時間を巻き戻す。

大人を振り切り、電車に乗った二人。うまくいかなくなるたびに時間を巻き戻し、逃げ続ける。何度も時間は繰り返されていく。

「わかってるんだ、こんなことうまくいっきこないって」

「もしも、お前と会えなくなるとしても、今日だけは一緒にいたい」

時間を巻き戻すたびに、おかしな形の花火が上がる不思議な世界になっていく。

「ちがう、この世界は違うよ」

「どっちでもいいよ、典道くんと2人でいられるなら、どっちでもいい」

なずなが不思議な玉を拾った海に二人は辿り着く。

海に飛び込むなずな。慌てて追いかける典道。

思いを伝えあった二人は水中でキスをする。

「次会えるのはどんな世界かな?」

新学期、担任の三浦先生がクラス名簿を読み上げ、出席をとっている。

先生は典道の名を呼ぶが返事はない。

教室になずなと典道の姿はなかった。

 

2.なんで話題になったの?

 

公開後、この映画の評価を見てみると、思ったより高くありません。しかし、公開される以前からこの映画の話はよく耳にしました。

なんで、評価が低いにもかかわらず知名度が高いのでしょうか?

 

①豪華なキャスト

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まず、言えることはキャスト陣の豪華さです。

主人公の典道は人気俳優の菅田将暉さん、ヒロインのなずなは「バケモノの子」でヒロインを演じたこともある広瀬すずさん。

アニメをあまり見ないという方は、これだけでも「有名な人が出るんだなあ」と思うでしょう。ですが、アニメをよく見るという方からすれば他のサブキャラのキャストを見てより豪華だなあと思うはずです。

祐介役は、武道館ライブをするほどの人気声優の宮野真守さん、主人公の担任の三浦先生は今最も人気の女性声優と言っても過言ではない花澤香菜さん、その彼氏の先生役は櫻井孝宏さん、典道の友人、稔役は梶裕貴さんなどなど、アニメを見る方には馴染みの深い声優さんたちがたくさん参加されています。

(アニメをあまり見ないという方はすみません。全然わかんないですよね。でも、この人たちはみんな色んなアニメでいくつも主役の経験のある人たちなんです。そう言うとすごさが伝わりますかね?)

「これだけのキャストが参加する映画なら見ていて損はないだろう」そういう風に思った人たちが多かったのではないかと思います。

 

②主題歌の人気

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今回、この映画で主題歌を担当されたのはあの、米津玄師さん!

若者を中心に人気の高い彼の楽曲が人気になったため、映画の知名度もそれによって上がったと思われます。

実際、見た人のなかでは、「ラストが意味わかんなかった けど、なんかエンディング曲はよかった」みたいなことを言う人結構いましたし(笑)

 

③映画「君の名は」の影響

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昨夏、映画「君の名は」は日本で公開された映画史上第4位、邦画では3位の興行収入を記録する大ヒットとなりました。

来場者数は1千万人を有に超え、概算すると日本人の8人に1人が観に行っているという驚くべき結果を残しました。

それにより、日本全体として、アニメーション映画に対する期待値がかなり上がっていたのではないかと考えられます。

実際、この「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか」は「君の名は」といくつかの類似点があります。

まず、②で挙げたように、主題歌を人気アーティストが担当したこと。「君の名は」ではRADWIMPSからの検索がもっとも多かったとの調査報告があるほど影響は大きかったそうです。

次に、「君の名は」でプロデューサーを担当した川村元気さんが今作のプロデューサーであること。

最後に、背景描写などの美術が細部まで美しいこと。「君の名は」は多くの人が綺麗な映像だったとの感想を述べています。今作でも、花火の描写を筆頭に綺麗な映像が多いです。

これらの多くの類似点から、この映画に期待していた人が多かったのでしょう。

 

3.何が悪かったの?

 

2でも書いたように、映画の評価サイトを見てみると、この映画の評価は高いとは言えません。なんででしょうか?

 

①みんなが「君の名は」と比較した

2でも書きましたが、この映画は「君の名は」との類似点が多いです。

それは、制作側が「君の名は」のヒットを経て売れた理由を分析した結果、そうなったのかもしれません。そうであるならば、話題性や公開当初の来場者数にその分析は大いに貢献したと思います。

ですが、それが結果的に内容の良し悪しを「君の名は」と比較されることになってしまったのではないでしょうか。

映画というのは、作品ごとの優劣を競うものではないですから、「この映画が『君の名は』よりも面白くないからダメだ」というようには思いませんが、多くの人がどっちが満足度が高かったかと考えてしまったことは仕方がないことのように感じます。

ですが、「君の名は」は邦画のトップスリーに入る作品なので、それと比べられるのはいささか刻なように感じます。実際、私はおもしろいと思いましたし、ネットの評価は辛口すぎるように感じます。

 

②ストーリーに謎が多く、しかもほとんどが解明されなかった

評価が低くなっているもう一つの要因がこれではないかと思います。

一番の謎は「なぜ、不思議な玉を投げると時間が戻るのか?」か「二人は最後どうなったのか?」でしょう。

ファンタジーでは、不思議なものは不思議で片付けることも多くあります。

例えば「ONE PIECE」。ルフィーはゴムゴムの実を食べたので手足が伸びますが、誰もなぜそうなるのかに突っ込んだりしませんし、わかりません。

でも、それはそもそもの世界観が現実世界とは異なるものだからです。その世界にはその世界の常識があるし、そういうものだと読者も受け入れることができます。

ですが、この映画は現実世界がそもそもの舞台(映画を現実世界というのはなんだか変な気もしますが)なので、見る人は自分たちの常識を当てはめて鑑賞します。

そのため、なんで?と思ったのでしょう。

似たような映画では「時をかける少女」があります。これでは、千昭(チアキ)が未来から来ていて、そこではタイムリープの技術が開発されているとわかることで、主人公真琴(マコト)のタイムリープに説明をつけることができます。

ですが、この映画ではその説明がまったくないまま終わってしまいます。そのため多くの人がすっきりしないままに映画が終わったと感じているはずです。

 

4.何がよかったの?

 

じゃあ、いったい何がよかったんだよ!と思うでしょう。当然です。

何がよかったのでしょうか?

 

①作画が綺麗だった

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作画や背景描写はとてもよかったと思います。花火をアニメーションで表現するのは大変なことです。(この映画が手描きなのか3Dなのかは知りませんが、どちらにしても相当な作業量を要します)

それらをハイクオリティで表現できたことはとても素晴らしいと思います。(拍手)

 

②ところどころの演出が面白かった

まず、この映画で一番のキーワードは「もし(if)」でしょう。

このキーワードに関する演出が節々に見られます。

 

まずは典道たちの住むまちの名前が茂下夏(もしか)であること。これは、ちょっとあからさま過ぎて笑っちゃうくらいですが(笑)

次は、不思議な玉を投げたときその中で電球のフィラメントのようなものが光るシーンがありますが、そのフィラメントの形が英語の「if」の形になっていること。

そして、典道が家に帰ったとき、口ずさんでいた鼻歌。これは、西野カナさんの「if」という曲です。

 

他にキーワードを挙げるとするならば、「花火」でしょう。

それも横からみた花火です。

作中では、「打ち上げ花火を横から見ると丸いのか、平べったいのか」というタイトルに関係する議論が出てきますが、正直これはメインテーマにはなっていません。

「結局どっちなんだよ!」と突っ込みたくなるくらいのあしらわれ方です。

ですがそれに関する演出が何度も作中に出てきています。

わかりますか?

それは作中何度もでてくる風力発電です。

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なんの意味があるの?と思うほどに出てきましたよね、この風力発電機。

まあ、シャフト(この映画の制作会社)はこういう演出よくやるので、流した人も多いかもしれません。実際最初は私も流して見てました。

ですが、この風力発電機、打ち上げ花火のメタファーなんです。

作中では、正面からの風力発電機が写るシーンだけではなく、横や下のアングルからの風力発電機が写ります。

想像していただければわかると思いますが、横や下からみると円形ではなく平べったく見えます。円柱を上から見ると円で、横から見ると長方形というのと同じ原理ですね。

平べったい花火なんか何度も描くわけにはいきませんから、こういう演出でタイトルに合う世界観を作っていたんですね。

シャフトの演出には定評がありますが、こういうところは、ほんとさすがだと思いました。

 

③謎が謎のまま説明されなかった

あれ、さっきと言ってることが矛盾してない?と思いますよね。でもいいんです。

2で確かに、謎が解明されなかったのがよくなかったという風に書きましたが、それは魅力との表裏一体です。

謎が謎のままであることは、観客に「よくわからない」という感情を引き起こしますが、解明されない不思議な感じというのはある意味大きな魅力でもあります。

映画に限らず多くの物語では説明しないということは大切なことです。

いちいち、「これはこれこれこういうことなのだ」みたいな説明が入るとうんざりしますし、世界観に入り込めません(昔のアニメとかではそういうのはありますが)。(あと、ジョジョは例外ですね。あれは、ああいう説明書きの言い回しが一種の魅力ではあります。特殊な例だと思うので除外します)

つまり、説明せずともわかる、もしくはわからずともストーリーが進むというのがほとんどです。そうやって、あえて観客を置き去りにし、不思議なふわふわした気持ちにさせる手法もあるでしょう。

小説などでは、特に顕著に見られるように思います。一番有名だと私が思うのは村上春樹さんでしょうか。あの人の作品ではなんだか不思議なことが起こってしかもあまり解明されません。そこには、「世の中は不思議なもので、本当は何が起こってもおかしくないんだ」というようなメッセージがあるようにも思えます。(本当にそういうつもりで書かれているのかはわからないので、断定はできませんが)

そういう一種の不思議な感覚をこの映画は与えてくれます。ストーリーにしても、キャラクターにしてもそうです。

「なんだかよくわからない」そう言う人が多いということは逆にこの映画の不思議さを多くの人が実感できたということではないでしょうか。

 

ですが、やっぱり「なんで?」とは思うし、その理由も知りたいですから、次以降で解明してみようと思います。

 

 

5.ストーリーやキャラクターの謎について

まずはキャラクターについて考察しようと思います。

見ていて不思議な点や行動が多いと感じる人も多かったのではないかと思いますし。

 

①典道はなんでなずなよりも背が低いの?

これ、ポスター画像(上に添付してます)を見てみるとわかるんですけど、明らかに典道のほうがなずなよりも身長が低いです。

この年頃の子(中1、中2くらい)は女の子の方が成長が早いので、男の子の背が低いということは現実世界ではよく見られる光景ではあると思いますが、それをアニメーションの世界で表現しているということはほとんど見られません。

せいぜい、主人公とヒロインの身長が同じくらいです。

となると、これは意図して典道の方が身長が低く描かれていると思われます。

じゃあ、なぜでしょう?

 

それは、

「典道は平均的な中学生から、少し子どもよりにいるから」

典道はなずなに恋心を抱いていますが、それを本人に伝えることができないどころか親しい友人にも話せないでいます。

中学生くらいになれば、異性の話が大きな話題になる年頃ですが、そういった話にも典道はうまく入れていません。

実際、作中で祐介がなずなのことが好きだと典道に話すシーンがありますが、典道はその話をまるで恋愛に興味がないかのように聞いています。また、男子生徒に人気の高い胸の大きな三浦先生の話題は作中で何度も出てきますが、男の子集団5人の中で典道だけその話題に入っていっていません。

これは、典道が単に恥ずかしがりというだけではなく、周りよりもちょっと成長の遅い子どもであるということを表現しているように思えます。

実際、前半の典道からは子どもというか、まだそこまでしっかりしていないように見えます。

一方でなずなはいわゆるちょっとませた女の子です。

「家出じゃなくてかけおち」

と言ったり、駅のトイレで化粧をして

「16歳に見えるかな?」

「水商売をする」

と言ったりもしています。

大人というわけではないですが、典道よりも明らかに背伸びしている感のある女の子です。

そんな二人の差を視覚的に表現した結果、典道の方が背が低いということになったということではないかと思います。

 

②なんで、祐介はあんな嫌なヤツになるのか?

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見ていてこれを感じたのはたぶん私だけじゃないはず。

はじめの祐介はノリの良いいいヤツです。主人公の良き理解者になりうる親友ポジションにしか見えません。

タイムリープが起こる前ではなずなに花火大会に誘われますが、典道に「行けなくなったって伝えといて」と言って断ります。

序盤で、なずなのことが好きだと言っている祐介ですが、ここで身を引いたのはおそらく典道のためでしょう。そもそもなずなのことが好きだと言い出したのは、なずなのことが好きなのに一歩踏み出せないでいる典道の背中を押すためじゃないかと思います。

そのため、祐介はそこまでの思いをなずなに抱いていないと考えられます。

しかし、話が後半に進むに連れて、祐介はどんどん「なずなラブ」なキャラに変化します。最後には、なずなと一緒にいる典道を灯台から突き落とすほどの狂気性まで見せます。

序盤と後半を比べると、考えられないくらいのキャラ変ですが、これはなぜでしょうか?

これは、不思議な玉を投げることでリープした「もしもの世界」はあくまで「典道が想像した世界」であるからです。

灯台で、花形の花火を見たとき、典道本人が「この世界は違う」と言っていることから、現実の世界とは異なる世界であることがわかります。

話を戻しましょう。

祐介が嫌な奴になっていくのは、典道の想像(頭のなか)では「祐介はなずなのことが好き」と信じています。本当はそこまででもないのに、祐介の真意を理解していない典道にはそういう風に祐介が写ってしまっているんです。(ここでも、典道がまだ子どもであることがわかります)

そんなわけで、「なずなのことが好きな祐介」は当然典道となずなの邪魔をするというわけです。

ほんとはすごくいいヤツなんでしょうね、祐介は。

でも、そのまんまに受け取ると嫌なヤツに見えてしまうのでちょっと残念です。

まあ、そういうところまでよく作られていると考えるようにしましょう!

 

③不思議な玉は結局なんだったのか?

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これはかなり不思議ですよね。不思議な玉だけに(笑)←面白くない

この玉は投げることで時間が巻き戻っているように見えますが、さっきも書いたように、厳密に言えば、時間が戻るのではなく、典道の想像した「もしも」の世界に飛ぶということです。

そのため、この玉は「時をかける少女」のクルミのようなタイムリープ装置とは異なります。そして最後、花火師のおじさんがその玉を尺玉のように打ち上げて(おじさんは不思議な玉を尺玉と呼んでますが、見た目は尺玉とは異なります)不思議な玉はこわれてしまい典道の「もしも」の世界が消えていき、現実に戻ります。

映画の後半では典道の想像の世界がガラスの破片のようになって壊れていく描写がありますが、その破片に典道の想像した「もしも」の世界がいくつも写ります。

そこに映ったいくつもの想像のパラレルワールドのようなものを典道となずなの二人は飛び越えていったとういことでしょう。

つまり、あの玉は「もしも」世界に飛ぶことのできるものだったということですね。

 

④二人はラストでなぜいないのか?

玉を投げた先の世界は想像の世界です。しかも最後、その世界は壊れて現実に戻ってしまっています。

なずなも「こんなことうまっくいきっこないってわかってる」と言っていますから母親に連れられ転校していると思います。

一方の典道ですが、なんでいないの?ってことですよね。なずなの方はまだわかりますけど。

たぶん、典道はなずなが玉を拾ったあの海に行っていると思います。

なずなとのことについて気持ちの整理をしているのではないでしょうか。

きっと、二人は駆け落ちを成功させたのだろうという見解もあるとは思いますが、現実世界に戻ってきているということを考えると少し弱いかと。

 

⑤タイトルになっていた打ち上げ花火ってなんだったの?

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タイトルにもなっている打ち上げ花火ですが、本編のストーリーには重要な役割を担っているようには思えません。

ですが、これも意味があることだと思います。

典道となずなの駆け落ちは一夜の出来事です。二人は懸命に逃げますが、力及ばずになってしまいます。

その夜だけの輝いた時間のように見えます。それはまるで、一瞬で輝いては消える花火のようです。

二人の恋や行動の鮮やかさや儚さのようなものを花火によって表現していたのではないかと思います。

 

6.まとめ

この映画にはもとネタの実写ドラマがあったそうです。

そのドラマを私は見ていませんがドラマの評価はわりと高かったそうです。だからというのも変ですが、ストーリーにはきちんとした意図があったように思えます。

一見しただけでは深いところまでわかりにくい気もしますが、噛めば噛むほど味が出るような作品だと思いました。

なんでもかんでも、明快で泣けるものじゃあ、つまんないですしね。

そういう意味では、他のわかりやすくて売れたアニメーション映画とは少し違ったテイストでおもしろいといえます。

低い評価をつけてる人が多いようですが、私はかなり高評価でいいのではないかと思います。(まあ、私の意見の方がマイナだとは思いますがwww)

いい映画を見れてよかったと思います。

 

かなり、長くなってしまいました、最後まで読んでいただきありがとうございました。

俺は、私はこう思うみたいなことがあればコメントもらえるとうれしいです。