アニメSHIROBAKOに見る平岡の魅力
アニメSHIROBAKO。
言わずと知れた制作会社P.A.WAORKSの「働く女の子シリーズ」の第二弾!
たくさんの魅力あるキャラクターがいますが(これらのキャラにはほとんどモデルとなる人物がいるんだというから驚きです。どんだけ濃いいんだよアニメ業界www)、なかでも異彩を放っているキャラがこの平岡でしょう。
このアニメが好きな人でも平岡のことは好きになれないという人もいるくらい。
そんななのになぜこのキャラは登場したんでしょうか?
知られざる平岡の魅力に迫ります!
◯そもそもアニメSHIROBAKOとは?
アニメSHIROBAKOはアニメーション制作をアニメにした作品です(なんか早口言葉みたいですね)
原画マンの方がどれだけ大変か、何の気なしに観ているアニメの設定がどれだけしっかり作り込まれているのか、かなりハードなスケジュールにギリギリの日々。
そんな過酷な毎日を主人公の宮森あおいが一生懸命駆け抜けていくというお話です。
◯平岡というキャラとは?
じゃあ、平岡ってだれよ?と思うでしょう。ですよね。実際観た人でも「ああ、あの感じ悪いヤツ」くらいの印象で名前までは覚えてないかもしれません。
平岡はアニメの2クール目から登場します。みゃーもり(宮森)と同じ制作担当の社員です。途中入社により登場するので、最初はいませんが、キャリアは5年目で、2年目のみゃーもりよりもベテランです。
ですが、仕事に対しては全く真面目ではなく、朝礼にも遅れる始末。とても、できの良い社員とはいえません。
みゃーもりも、見かねて注意をするものの馬の耳に念仏で全く聞く耳を持ちません。
「チッ(舌打ち)帳尻さえ合えばいいだろ」と言ったりしてとにかく感じが悪い。
20話の「がんばりマスタング」ではりーちゃん(今井みどり)に対して
「いいよな女は。おっさんにちょっといい顔すりゃなんでもやらせてもらえるし、なんでも思い通りになるもんな。ちゃんと仕事してんのにチャンスもらえない人間がどれだけいると思ってんだ。素人がこの仕事なめてんじゃねえぞ」
という、さすがにそりゃ言いすぎだろというセリフまで口にしています。
とにかく嫌なイメージを視聴者に与えますが、そんな平岡ももともとそうだったわけではないことが22話「ノアは下着です」で明らかになります。
アホの太郎が平岡を飲みに誘ったシーン。
すっかり酔っ払った平岡は過去を高梨に吐露します。
「ちいせえよ。俺の野望な、アニメで初めてカンヌで「ある視点部門」の作品賞と国際批評家連盟賞をとるつもりだったんだよ、馬鹿、俺の馬鹿ぁ!」
そう、もともとの平岡は夢に燃える男だったのです。
ですが、そんな昔の平岡を不運が襲います。
一生懸命に駆け回るものの上がらない原画、頼んでも仕事を受けてもらえない、やる気が空回りし同僚には冷めた目でみられ。とにかく、厳しい曲面に立ち続けます。
そうして、「仕事は上がれば、帳尻があえばいい」という平岡になっていくのです。
もう傷つくのは嫌だから。
現実をアニメ業界の悪い部分を見続けるのはつらいから。
そんな平岡を太郎がなぐさめます。
「ダイちゃんは馬鹿じゃないよぉ……つらかったねぇ、……えらかったねぇ……ダイちゃん……がんばったねぇ」
太郎はアホですが、裏表のない根はいいヤツなのでそんな太郎の言葉がストレートに届いたのでしょう。ここから平岡の変化が表れます。
まず、前日激しい口論を繰り広げた演出の円さんに謝りに行きます。そして、他の社員にも若干ですが協力的になります。
突然優しくなったというわけではないですが、登場当初の平岡と比べると驚くほどです。
最終話での打ち上げでは酷いことを言ったりーちゃんや、口論した円さんと楽しそうに談笑するシーンが見れます。
これほどの成長と変化を見せたキャラはSHIROBAKOには平岡以外にいないじゃないかと思うほどです。
じゃあ、なぜそんなに平岡には魅力があると私が思うのか次で解説します。
◯平岡の魅力「平岡=現実の社会人」
そう、平岡とは現実の社会人のメタファーなのです!
SHIROBAKOはギリギリの状況で頑張るアニメ関係者たちがほとんですが、そのほとんどが才能や能力のある実力者です。
あれだけコンテの上がらず、200グラム痩せたくらいで唐揚げを食べまくる木下監督も、仕事が嫌で逃亡を繰り返すヒゲ仙人も「万策尽きたぁ」と泣き叫ぶ(実はこのセリフアニメ流行語の13位に入ったそうですwww)デスクも実際のところ能力のある人達です。
そんな曲者ぞろいのアニメですが、実際はそんな人ばかりじゃありません。能力をあげようと思ってもなかなかうまくいかない人もいるし、才能がなくても夢を諦められない人だってたくさんいます。
平岡はきっとそんな人たちの思いがわかるキャラクターとして登場したのだと思います。
大きな夢を持っていてそれを叶えるために努力していても、甘くはない現実の壁に直面する。それでも、諦められない。それでもアニメが嫌いになれない。そういう人って苦しいし大変じゃないですか。そんな人の気持ちを平岡は体現しています。
大変な業界に「好き」という気持ちひとつで踏みとどまっています。それってすごいことだと思うんです。特に、色んなものを見てきて苦労してきた人なら共感できるんじゃあないかと思います。
そんな人が苦しい現実を知った後でも、もう一度立ち上がろうとするならきっといい作品を作ってくれるはずです。
平岡のその後はわかりませんが、カンヌで賞を取れるような人になってくれたらなあと思います。そのときはきっと平岡の横に太郎がいるんでしょうね(笑)